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絵の具で描くと、塗り方がヘタなせいで全体的に汚く、つまらない絵になってしまいます。

下絵ではさまになっているのに、色を塗ると人物の表情や全体の雰囲気が変わってしまっていませんか?
筆の使い方に慣れていないという事もありますが、塗り方以上に塗っている色 の組み合わせの悪さが、ヘタに見える原因になっている場合が多いです。
アナログで描くのが苦手でデジタルで描くという人も多いと思いますが、色の好みやバランスが悪いのは補えません。

デジタルであれ、アナログであれ、着彩は何枚も描けば自然と上手くなります。
カラー絵の魅力はなんと言っても『色』です。
極端に言えば、絵が雑でも配色が良いと、それなりに綺麗でカッコよく見えてしまうものです。
逆に言えば、配色が悪いとどんなに丁寧に仕上げられていても、最悪不快な印象だけを残す絵にもなってしまうわけです。
不快とまではいかなくても、印象に残らない絵だったり。


配色の話に入る前に、まずは色を塗る際に注意したい点を挙げておきます。

色を塗る紙はなるべく毛羽立たせないように

ペン入れでも紙の毛羽立ちを抑えるという話がありましたが、やはり折角の原稿をキレイに仕上げるためにこれは欠かせない注意点です。
鉛筆で下絵を何度も描きなおした場合、消え残った鉛筆の粉で紙が汚れていると、絵の具に混ざって薄汚れた感じになります。
また、消しゴムで強く消して紙の表面が毛羽立っていると、汚い色むらができます。
下絵はうっすらと描いて、出来るだけ書き直しを少なくすれば、綺麗に色を塗ることができます。
そうしたいのはやまやまですが、手馴れていないという場合は下絵を別の紙に描いて、トレースするのが無難だと思います。
その場合も、鉛筆描きは筆圧をかけずに、うっすらと描くと鉛筆の粉が絵の具に混ざって汚くなりません。
更に、色鉛筆やカラーインクで清書して、下書きをきれいに消しておくと、絵の具で描いた時に汚くならず、下絵も消えないので便利だと思います。
お薦めは、色鉛筆は水色、カラーインクはセピア、茶色、グレーなどです。

こんな感じで下絵が出来たら、いよいよ色を塗ります。

まず、自分の好きな色を見つけよう。

例えば、が好きだとします。
赤といっても色んな赤があるので、自分が一番好きだという赤になるまで、混色で調整してみましょう。
「ぴったりな色」になるまで根気よく混ぜ合わせ、自分オリジナルの色を作って下さい。その色があなたの個性になり、あなただけの魅力になります。

ここで大事なのは、最初に昼間の明るい所(順光)で見た色を作ることです。
この色を基本色として、配色やシチュエーションに応じたバリエーションを作ります。
四季によって微妙に印象が変わったり、朝・昼・夕、晴天・曇天・雨天による変化等、同じ色でも随分印象が変わりますよね。


絵の具やインクで色を作る場合は黒を混ぜないのがポイントです。
デジタルはツールの関係上、どうしても黒が混合されてしまうので仕方ありませんが。
画材によって色の混合は様々なやり方がありますが、ここで水彩絵の具の場合を例にとって紹介してみます。

色を作る為に混ぜ合わせる絵の具は、基本的に次の三色です。
美術の教科書でもおなじみの色の三原則ですね。

赤 = ライトレッド
黄 = オークル
緑 = イエローグリーン

これに、次の2色を加えます。

暗さを加える色 = セピア
(色を落ち着かせ、深みも出す)

白 = ホワイト
(色を薄める、色を濁らせ厚みを出す)

この5色で大抵の色は作れます。


更に、バリエーションをつける為に、今度は色が感じさせる「温度」に注目してみましょう。
暖かな色合いは、黄・赤・茶を基本に、他の色もそれを混ぜた暖色にします。
クールな色合いは、青・緑・灰色を基本に、他の色もそれを混ぜた寒色にします。
青は、ネイビー(紫・赤系)、ウルトラマリン(青)、セルリアン(黄・緑系)をベースに使用します。


表現したいイメージ・シチュエーションに応じて、基本色を変えたり、基本色に加えたりもしてみましょう。

赤 = オペラレッド
黄 = ライトイエロー・山吹色
緑 = オリーブグリーン・ライトグリーン・ダークグリーン
暗さを加える色 = ダークブラウン・アンバー・チョコレート
寒色(青) = ミント・クールグレイ

・・・といった具合に。(どんな雰囲気になるかは実際に試してみて下さい)
こうして複雑なオリジナルの色合いが出来てくると思います。


デジタルは先にも少し触れましたが、ツールの関係上、どうしても黒が混合されます。
そのため、全体に色合いが汚くなる場合があります。これは、色に深みを出そうとして黒(シャドー)をかけるせいです。
なので、大事な色は絵の具やインクで描いたものをスキャナで取り込んだ方が色合いがキレイに出たりします。


キレイな配色や、カッコイイ配色を作ろう。

ここで言う「配色」とは、一枚の絵に使う基本的な色の組み合わせを予め決める事を言います。
そのままの絵の具の色(生色)を並べて描くと、それぞれの色が独立しているので協調性がありません。
例えば自分の部屋を考えてみましょう。決まったテーマカラーがあると、まとまっていると感じませんか?
トータルな色バランスが取れていると整理されて美しく見えるのです。

まず、中心になる色を決めて、その色と相性のよい色の候補を幾つか作っておきます。

例えば、赤・青・黄・緑・茶・黒・白の7色を使って絵を描くとします。
下絵のイメージに合わせ、シチュエーションや天候、季節や時間等を考え、全体を何色に合わせるかを決めます。
「春の柔らかな光が射す朝の雰囲気」を出したいなら、基本の7色は、「明るく透明感があって爽やか・色合いは薄く白っぽく」という具合です。
この時、中心にしたい色が白だった場合は、その白を黄色寄りにするか空色寄りにするかで、組み合わせる色の相性も変わってきます。
「夏の夕暮れ」をイメージした場合は、中心にする色が黄色かもしれません。
そうなると、黄色系を中心に、青や緑も黄色みがかり、オレンジやライトレッド、茶系の配色になってくると思います。
ピンクっぽくしたい場合は、赤はオペラレッド、青は紫系、加えて小豆色やチョコレートといった配色になると思います。

決めた配色以外に、細かな部分で不足している色は、実際に塗り始めてから周りとの調和を考え、色を作っていきましょう。


さて、ではどうやったら組み合わせる色の相性が良くなるか、ですが。

中心色に合う色を数色選び、馴染みが良くなるように少しずつ中心色を混ぜ合わせて新たな色を作っていきます。
また、隣り合うことの多い色も互いを少量ずつ混ぜていくとよいと思います。
更に、色同士をグラデーションのように繋ぐ役目をする色を作っておくと良いでしょう。

例えば、同じ茶でも、チョコレートならサーモンピンク、セピアならパウダーブルー、が相性が良いとか、
同じ黄色でも、山吹色ならセルリアンブルー、レモンイエローなら藤色、が相性が良いとか、あると思います。
相性の良い色の組み合わせはファッション誌やモード系写真集、着物やプリント布の配色を参考にしてみましょう。


また、描く紙によっても絵の具が完全に乾いたときの発色が違うので、絵を描こうとする紙の切れ端で構いませんから、色を作っている段階で少し色を塗ってみては乾かし、様子をこまめに見ながら作業を進めていく事をおすすめします。
乾いて濃くなる色、逆に乾くと薄くなる色もあるので、薄くしたい場合も一気に白を混ぜるのではなく、まず試し塗りをして様子を見、少量混ぜては試し塗りをして調整して下さい。


では、もう少し具体的に色を作っていく例を挙げてみます。

こんな風にしたいと思うイラストや写真、着物や洋服の柄をお手本にして、そこにある主な色を作ってみましょう。
まず、お手本を横に置いて、一色ずつ似せて作っていきます。
色を塗る紙が違うと発色(乾いた時の色)が違うので、自分の絵を描く紙と同じものをもう一枚用意します。そして、その紙を短冊状に切っておきます。
ここでは、着物柄をお手本に配色を作ってみるやり方を紹介します。
主な色は、紅色、えんじ色、灰水色、橙色、緑色、の5色です。
一色ずつ、何色と何色が混ざって出来ているかを考えて、絵の具を混ぜます。
短冊に切った紙にそれを塗って、よく乾かします。 (ドライヤーを少し放して熱風を裏側からあてて乾かす)
これを布の上に置いて、微妙な違いを、ほぼ同じになるまで色を混ぜて調節しながら作っていきます。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
布の上に置いた短冊に作った色をのせ、具合を見ているところです。

大事なことは、色は足せるけれど、引く(消す)ことはできないということです。
例えば、最初にカーマインレッド(黄色みがかった赤)に他の色を混ぜて、後で黄色みを失くしたいと思っても、黄色みは消す事ができません。
「違うな…」と思ったら、作っていた色を捨てて、一から作り直しましょう。

5色を大体似た色に作れたら、"馴染ませる"というのが綺麗な配色にするコツです。隣り合う色を、ほんのちょびっと(筆の先でチョンとする位)入れて混ぜます。
微妙な違いですが、コレをすると、画面全体に色の統一性(馴染み)が生まれます。
こうして、パレットを作ってから塗れば、失敗がなくなります。

補足として、グラデーションの作り方も紹介しましょう。
塗りたい場所全体に、まず水で薄めた色を手早く塗ります。
次に、乾く前に濃い色を塗り、更に水だけをつけた筆で伸ばします。
ここでのポイントは、筆にどのくらい絵の具を含ませるかです。
雑巾かキッチンペーパーで筆を拭って、含ませる量を調節しましょう。また、筆は何本か用意して、色が混ざらないように、こまめに水ですすぎましょう。
グラデーション用の筆は、常に水でよくすすいで使ってください。
簡単な方法としては、主色を塗った後、ぼかしたい所に水を塗って、素早くティッシュペーパーで軽く押し付けるようにすると、グラデーションに色が抜けます。

いずれの場合も、回数を重ねて慣れていくことが大事! です。